食事を済ませると、まず、桜島を見たいと思い、港の方に歩いた。昨晩より穏やかな海風に吹かれながら。桜島は頭に雲の帽子を被り、雲は桜島から湧き出ていた。
「桜島。おはよう。」「本当に、来たんだな。」「本当に来たよ。」「今日、そっちに行くよ。」
桜島に挨拶を済ませると、ホテルの部屋に戻り、チェックアウトの準備をした。チェックアウトまでまだ時間があったので、濃い美味しい珈琲を飲みたくなった。昨日、夕食を食べに歩いて行った道の途中にcoffee soldier というエスプレッソが飲める店がある。街の風景を眺めながら、散歩がてら出かけた。エスプレッソをダブルで頼んで、一気に飲み干した。まぁ、飲みたかっただけに、美味しかった。
そして、いよいよ、十数年来の思い入れと憧れの桜島フェリー乗り場へ車で向かう。フェリーに車ごと乗り込む前に、一度レーンを外して車を止め、桜島をもう一度拝む。「今から行くよ。」桜島フェリーは乗船レーンに車を入れて並び、乗船して、桜島に着いて下りた後に、島の料金所で車の大きさによって料金を払うシステムだ。車は乗船スタッフの指示により、船の最下層部分に、整然と駐車されていく。車を停めて、甲板に出て、出航後、離れていく鹿児島を見た時、片道約1,500kmの長距離の遠い走りが報われた気がした。それは達成感とともに、これから間近で桜島と対面するという期待を伴う深い幸福感であった。

『桜島 Ⅴ』に続く・・・。
(^^)/ R.













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