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2月, 2020の投稿を表示しています

如月庭三花十様

        lately I've been running on faith..... what else can a poor boy do ?   R.  

ムーディブルース「サテンの夜」

 DJ がラジオから、「次の曲は、ムーディーブルース。サテンの夜!」と言ってその曲をかけていたのが耳に残っている。  バンドの名の通り、ひとつのムードを形成している。そのムードというのは、スローテンポののどかなフォーク調、ビートルズ調の曲にダイレクトトーンでなく一皮着せている感じである。今となっては、全体的に古臭い感じするが、プログレッシブロックの初期段階の様子が伺える。それは、クラシック調の間奏や伴奏の導入やプログレ独特の低音の響かせ方、歌、コーラスを含む共鳴のさせ方に感じられる。ブルースロックバンドではないのかと思う人もあるかもしれないが、デビューアルバム『 Magnificent(1965) 』では、ブルースロックをやっているのだが、その後、プログレに路線を変更し、名前はそのままということであったのだと思う。当時、メロトロンという管弦楽を奏でる鍵盤楽器が開発され、それを導入しているということで、プログレのくくりとなるが、全てそういう曲を演奏しているというわけではなく、総合的にはフォークロック、ポップスロックバンドの傾向が強いと思う。  「サテンの夜」は、ムーディブルースのセカンドアルバム『 Days of Future Passed(1967) 』に入っている。このアルバムは、夜明けから、昼、そして午後、夕暮れ、夜に至るという一日の情景を音楽的に表現したアルバムである。その夜のイメージを歌って奏でる曲として「サテンの夜」が作られて、このアルバムに入れられたというわけである。そしてその「サテンの夜」がシングルカットされ、我々はそれを当時聴いていたということだ。このアルバムは、ロンドンフェステバルオーケストラのピーター・ナイトのアレンジで夜明けから昼に至るまで交響楽が演奏される。1曲目のオープニングは大河ドラマのテーマ曲のようなイメージである。ナレーションを入れて演奏は続く。2曲めの「 Dawn 」でドラムが入り、幾分哀愁を帯びたメロディでボーカルが入る。さらに物語を奏でるように交響楽演奏は続き、3曲目「 Morninng 」において、爽やかな歌がのどかな管弦楽演奏をバックに歌われる。そして4曲目「 Lunch Break 」に一日の物語は続く、人々の動きが活発になるようなイメージである。途中から、ムーディブルースのアップテンポで、...

faces. 『The First Step』

 振り返って、そして遡って 60 年代のロックを聴いている自分にとって、また、『 Atlantic Crossing (1975 ) 』からロッド・スチュアートを好きになって聴いてきた自分にとって、フェイセズを聴くことは、 60 年代からのロックの森のなかで、親しい友達と出会うような感動がある。ロッドの歌声を聴くだけでひとまずホッとしてしまうところがある。   フェイセズのデビューアルバム『 First Step  (1970) 』は、 やはり 自分が好きでよく聴いてきたボブ・ディラン ( ボブ・ディランもその歌声を聴くだけで自分はホッとしてしまうところがある ) の『ジョン・ウィズリー・ハーディング』からのカバー曲で、「ウイキッド・メッセンジャー」から始まる。ボブ・ディランはブルースハーモニカを吹きながら、 2 ビートの跳ねるような感じのアップテンポでこのブルースを歌っている。ドラムもベースも入っているが、アコスティックブルース調である。アルバムのタイトル曲や「聖オーガスティンを夢に見た」「見晴らし塔からずっと」「フランキー・リーとジュダス・プリーストのバラッド」などと比べると、ブルース曲の押しではあるが、あまりパッとしない曲である。 ところが、フェイセズが歌うこの曲は、全く別の曲かと思わせるようなロックテイスト溢れるアレンジで、更にロッドのボーカルとロンウッドのリズムギターとくると別の命を吹き込まれたようで、本当にいかしている。ブルースロックというより、グルーブ感が効いたリズム&ブルースロックなのである。そして、ボブ・ディランのオリジナルの中から何故、この曲を選んだか考えてみた。歌詞の内容は、「悪意を持ったメッセンジャーがいて、ちょっとしたことでも何倍もにして、お世辞しかしゃべれないようなやつだ。ある日、そいつは足の裏が燃えている。海が裂け、人々が立ちはだかり、そいつは悟った。良いことだけ話せばいいと。」というような少しばかり、啓示的な意味合いもあるかと思われる内容である。フェイセズがそのデビューアルバムの初っ端にこの曲を入れたのは、まずブルースであることが挙げられると思う。それから、俺たちはお世辞でなんだかんだごちゃごちゃ誇張してやるのでなく、よい歌だけを歌うんだというようなメッセージがあるような気がし...

ヤードバーズ

    今になって、「俺のハードロックデイズ」と題して、自分が聴いていた以前(その前)のロックバンドと、当時シングル盤しか買えなくてアルバムで聴いていなかったロックバンドを聴いている。なぜならば、ビートルズをその解散当時、小学高学年で知った自分は、ビートルズは前も後も追って聴いたけれども、小学低学年では、当時 のロックバンドなど聴くことはできなかったし、小遣いを貯めてレコード店に通ったけれども、ヒット曲のシングル盤を買って聴くことで満足していたし、Lpを何枚も買うことなんてできなかったからである。    今回は、 ヤードバーズ である。「 Five Live(1964) 」これを聴く限りは、チャックベリーとエルビスのロックンロールを忠実に継承したバンドというイメージである。ロックンロールブルースバンドという感じである。一部ブルースロックの兆しをみせる。ビートルズ誕生から、当時のイギリスにおけるロックンロールバンドブームの熱と渦の中で幾多のバンドが生まれたと思うが、その中のひとつのバンドであると思う。クラプトンとジェフベックとジムページを産出したロックバンドとして、イギリスにおけるロックの黎明期のバンドのなかでも現在、かなり注目されているバンドである。しかしながら、正直に言わせてもらうと、今現在聴く限りは、歌も含めて、その熱の中で好き勝手やっている感じで、下手くそでやけにやかましいだけのバンドという気もするのである。  「 For Your Love(1965) 」「 Rave Up(1965) 」「 Roger The Engineer(1966) 」まで聴くと、ブルースロックンロールだけでなく、サイケ、ポップの傾向もみせているということがわかる。自分が聴く限りは、「Roger The Engineer」が一番できがいいような気がする。一部において、ブルースロックの兆しや、ハードロックの兆しが見えてくるところがある。残念ながら、ヤードバーズの印象は、奇跡のロックバンドとか、天才ロックバンドの印象は乏しい。黎明期の初々しさこそは感じられるが、鋭い光や才能の一端が聴かれるという感じではなく、言っては悪いが、極めて凡庸なイメージである。どうしてかと考えてみると、熱の中でまだ暗中模索している観があり、確固としたスタイルや方向性を...