世界や社会がコロナウイルスの試練と戦っている時に、俺も勿論、その試練から逃れられるわけでもなく、その試練に耐えながら、更に個人的な試練と戦っていた。折よく(家庭勤務)というのか、折り悪くというのか、頸椎狭窄症、頸椎のヘルニアが再発して、その治療をしていた。痛みと戦いながら、その痛みを抑える薬による副作用と戦っていた。自分に現れた副作用は毛細血管が切れて、紫斑ができような症状と眠気と肥満(薬に太る作用がある)である。
紫斑は気にしても仕方ないし(医者も気にしないと言っていた)、眠気は気持ちを脳内麻薬でハイにもっていくようにして、珈琲を飲んで消す。三食まともに食べると太ってしまうので(以前からその傾向はあったけれども)、一食抜くか、昼を手前のおにぎり弁当一個にしようかなどと考えていた。しかし、二食を自炊でやってる俺は、昼の弁当まで作るのはちょっとつらいところがある。そこでランチをファストフードにしたらどうかという方法を思いついた。ランチセットにすれば、比較的安価だし、一石二鳥だ。そうして、緊急事態宣言とともに、俺のファストフードランチの季節が始まったというわけだ。
リスクを避けて、テラスで食べられる店は外を選ぶようにして、室内の場合は、所謂、ソーシャルディスタンス、間隔をとれない店は避けるようにして。ランチタイムに職場の近隣のファストフード店の食べ歩きをしていたというわけである。このファストフードのランチに飽きが来た頃、緊急事態宣言が解除された。と同時に俺は、自分の不注意で、マキタの小型掃除機を蹴ってしまい、右足の薬指を不幸にも骨折してしまった。痛ってぇ~!と思った感じがいつもぶつけた時と違ったので、右足の薬指を見ると、外側を向いていて、頭をいじってみるとペロペロになっている。これは骨折したなと思って、痛い薬指に我慢してなんとか湿布を巻き絆創膏で巻いて押さえておいた。週明けに頸椎の治療で通っていた医者に診てもらうとX線を撮って、「折れていますね。」ということだった。みんなも足元にはよくよく注意した方がいいよ!
個人的にはコロナのリスクと頸椎の痛みと副作用、右足の薬指の骨折と三重の試練を負っていることになる。悪い時には悪いことが重なるというのか。或いはなんらかの意味があって俺はこういうことになっているのか。かんべんしてよ。なにもここまで試練しなてもと思ったりもしたが、ひとつひとつのりきるしかないだろう。
ある脳学者が『最初のペンギン』という文章の中で、不確実性を乗り越えるには、決断し直観による行動が必要であり、その直感を支えるのは感情のニュアンスだと言っている。そために我々は、脳の感情のシステムを鍛える必要があるとも。「最初のペンギン」とは、英語圏において、困難に打ち勝って、新しいことにチャレンジする人のことを言う。
地上に多くの死者を出したコロナウイルスはいわば、悪魔である。そうして悪魔は人の弱みを食って生きているような気がする。だから、みんなもどうか自分の弱みに打ち勝ってくれと思う。いつか、俺はこのひとりめしのファストフードの季節を、コロナの脅威と頸椎の治療と右足の指の骨折とともに思い出すのだろう。
R.
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